病害

ニューカッスル病(にゅーかっするびょう)(Newcastle Disease)

投稿日:

(農業)(病害)

主としてニワトリがかかるウイルス性の病気で、罹患すると死亡率は高く、予防法はあるが治療法は見つかっていない。

宿主 鶏(ニワトリ)、あひる、うずら、七面鳥(これらは家畜伝染病予防法、家畜伝染病予防法施行令で指定されている)など、おもに鳥類がかかる。

他にはキジなども高い感受性を有する。

多くの種類の鳥類に発生し得るし、世界中に広くおきている。

病原体 ニューカッスル病ウイルスの接触感染、飛沫感染に起因する。

ニューカッスル病ウイルス(Newcastle Disease Virus(NDV))は1本鎖-鎖RNAウイルスであり、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ジステンパーウイルス、センダイウイルスなどとともにパラミクソウイルス科に分類される。

ウイルスは感染した鳥のふんなどの排せつ物にも含まれる。これらと直接接触したり、汚染飼料、飲み水、ケージ、飼育者の衣服などを介したり、野鳥の侵入などによって伝染する。

症状 気管支炎、肺炎、緑色の下痢便、脳炎、痙攣(けいれん)。

呼吸器と神経系統を冒され、死亡率が高い。

急性感染症。

潜伏期は2~3日と短い。発病すると多量のウイルスが排出される。感染すると沈うつ、開口呼吸となり、食欲をなくす。体温は43℃ぐらいまで上がる。顔面が腫(は)れ上がることもある。眠るような状態になって死亡する。

関連する法令 家畜伝染病予防法2条、家畜伝染病予防法施行令1条。
病名の由来 インドネシアで1926年に初めて発見され、翌1927年にイギリスのニューカッスル・アポン・タインで再び見つかったことによる。
人への感染 まれにヒトにも感染し、結膜炎などを起こすことがある。
予防法 生ワクチンと不活化ワクチンの接種により予防できる。予防接種プログラムに従ってワクチンを接種し、十分に免疫ができていることを確認する。

鶏舎へのウイルス侵入を防止するために、一般的な衛生管理を徹底し、防鳥ネットなどによって野鳥の侵入を防ぐ。

治療法 治療法はみつかっていない。
病気発生のとき 症状に気づいたら、家畜保健衛生所に連絡する。

病鶏と、同一鶏舎内のニワトリは殺処分となり、卵、飼育器具などはすべて焼却となるはず。

*本項の記載によらず、関係機関の最新の指示を確認する。

-病害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

鶏痘(けいとう)(Avianpox Fowlpox, Avian Diphtheria, Chickenpox, Fowlpox, Fowl Pox)

(農業)(病害) 主としてニワトリが罹る(かかる)、鶏痘ウイルス感染を原因とする鳥類の急性伝染病。 家畜伝染病予防法においてニワトリ、ウズラの鶏痘が届出伝染病に指定されている。 養鶏が行われている所で …

no image

連作障害(れんさくしょうがい)(Injury By Continuous Cropping, Replant Failure)

(農業)(病害) 同じ場所で同じ作物を繰り返し栽培して、作物が病気になったり生育不良になったりすることをいう。 連作障害は野菜類で顕著であるが、水田でつくる水稲は連作しても連作障害が起きない。 連作障 …

no image

法定伝染病(ほうていでんせんびょう)(Legal Communicable Disease, Notifiable Infectious Disease, Official Disease, Reportable Communicable Disease)

(農業)(病害) 本来の正式な医療用語としては、現在は使われなくなった。 農業では、「ニワトリのニューカッスル病は『法定伝染病』に指定されているように危険な病気だ」のような文脈で通用的に使われる。 そ …

no image

家畜保健衛生所(かちくほけんえいせいじょ)(Livestock Hygiene Service Center)

(農業)(病害) 都道府県の機関として設置され、畜産振興のため、家畜衛生の向上を担っており、家畜の伝染病予防に関する事務や、家畜疾病の診断、飼養衛生管理の指導などを行っている。 全都道府県に168カ所 …

no image

病原微生物(びょうげんびせいぶつ)(Pathogenic Microbe)

(農業)(病害) 植物においては細菌や菌類やウィルスが病原微生物の例としてあげられる。 菌類(菌類は細菌と異なる)の病徴としては根こぶ病やうどんこ病が、そしてウィルスの病徴には萎縮・モザイク・えそ等が …