(農業)(植物)
自家受精が妨げられる性質のこと。異なる個体との間では受精するが、ひとつの個体のなかで花粉が受粉されても正常な受精に至らない。
被子植物種の約半分が、この自家不和合性に該当するとされる。それ以外の多くの植物種は、裸子植物も含めて自家和合性(じかわごうせい)(Self-Compatibility)である。
自家不和合性は被子植物について書かれた文献が多く、おそらく裸子植物では自家不和合性があまり多くないのだろう。つまりおそらく裸子植物の多くは自家和合性なのだろう。
また、裸子植物は被子植物への進化の途中段階であるという考え方があり、つまり被子植物に比べ高等ではなく、「自家不和合性が高等植物でみられる」という文献情報と合致する。
自家不和合性は、遺伝的多様性が生じることや近交弱勢が避けられることで、被子植物が広がった理由として考えられている。
ナシ、リンゴ、サクラソウ、クリ、ヘーゼルナッツなど。
自家不和合性の分類として、遺伝子に着目した配偶体型と胞子体型があり、また花の形態に着目した同形花型と異形花型がある。
配偶体型には同形花型しかなく、胞子体型には同形花型と異形花型がある。
遺伝子に着目した分類 | 花の形態に着目した分類 | 科 | 例 |
配偶体型 | 同形花型 | ナス科、バラ科など | ナシ、リンゴ |
ケシ科 | ヒナゲシ | ||
胞子体型 | 同形花型 | アブラナ科 | ダイコン、ハクサイ |
ヒルガオ科、キク科 | サツマイモ、コスモス | ||
異形花型 | サクラソウ科、カタバミ科、タデ科 | サクラソウ、カタバミ、ソバ |
もしも出題で、
Q:「同一品種の花粉を受粉しても受精せず、種子ができないことを自家不和合性という。」といったらこれは○か×か。
とあれば、その答えは、
A:×(同株の花粉で受精しないなら自家不和合性だが、同一品種でも他の個体の花粉を受精しないならそれは自家不和合性ではなく別の理由(病気かなにか)による。もしこの出題例で「同一品種」のところが「同株」なら○。)
となる。