土壌

鹿沼土(かぬまつち)(Kanuma Pumice, Kanuma Soil)

投稿日:

(農業)(土壌)

群馬県赤城山の噴火によって地表に堆積した火山砂礫で、赤城火山をかなめにして東方に扇形に分布し茨城県にまで及ぶ。

土と呼ばれているが実際には軽石である。

成分は、長石、角閃石、カンラン石など。

直径数mm程度だった丸みを帯びた軽石が風化、団粒化し、アロフェンやイモゴライトが生成している。

有機物を含まない。

薄黄色を呈し、水を含むと鮮やかな黄色に変わるため、土壌の乾燥が判断しやすく水やりの目安にできる。

表面の毛管孔隙に空気や吸収した水分などを含むので、普通の畑土の2~3倍の保水性を持ち、排水性も優れている。

一度給水すると数日間保水し、粒子間のすきまが大きいため通気性がよい。

通気性、保水性の高さ、強い酸性度から、サツキなどのツツジ科の植物や東洋ランなどの栽培に向いている。

サツキ、ツツジ類には鹿沼土単独で用いる。

排水性に優れるため盆栽にも向く。

雑菌をほとんど含まないため、挿し芽、挿し木などにも適している

他の用土と配合して山野草(さんやそう)のためにも使われる。

松柏や多くの雑木類など酸性に弱い植物には向かない。

鹿沼土以外の浮石の堆積(たいせき)層は、九州南部の桜島周辺に分布する「ぼら」、長野県南部の「味噌土(みそつち)」などがある。

(*Pumiceの発音はpʌ́mis(パミス)。ピューマイスではない)(英訳をKanuma Soilとした文献はあるがおそらくKanuma Pumiceのほうが適切)

 

もしも出題で、

Q:「鹿沼土は、アルカリ性の性質をもち、ツツジの栽培に適している。」といったらこれは○か×か。

とあれば、その答えは、

A:×(鹿沼土はアルカリ性ではなく酸性。出題文でアルカリ性のところを酸性に変えれば○になる。)

-土壌

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

土(Earth, Soil)

(農業)(土壌) 風化を受けた岩石の破片や火山灰などの母材に、腐植とよばれる物質が混入して生成されるもの。

no image

耕起(こうき)(Plowing)

(農業)(農作業) 耕地の土を掘り起こすこと。 ここでは耕起は耕耘作業のひとつとみなしている。 耕耘(Tillage) 耕起(Plowing) 砕土(Harrowing) 反転(Inversion) …

no image

地力(ちりょく)(Land Capability, Soil Capabilities, Soil Fertility)

(農業)(土壌) 植物を生産し得る土壌の能力のこと。土壌肥沃度(どじょうひよくど、Soil fertility)と似ている。 昭和59年の地力増進法によれば、「この法律で「地力」とは、土壌の性質に由来 …

no image

緑肥(りょくひ)(Green Manure, Green Manure Crop)

(農業)(肥料)(土壌) 植物を腐らせずに土壌に混ぜて肥料にするもの。 山野草(さんやそう)緑肥 野生の草花を用いるもので、現在はあまり使われていない。 栽培緑肥 マメ科 レンゲ、クローバー、ベッチ類 …

no image

母材、土壌母材(どじょうぼざい)(Soil Parent Material)

(農業)(土壌) 土のもととなる岩石(が細かくなったもの)などの材料を、母材もしくは土壌母材という。これら母材に植物や動物が作用して土壌になっていく。 母材は岩石のほかに火山灰や植物遺体も含まれる。 …