(農業)(病害)
主としてニワトリが罹る(かかる)、鶏痘ウイルス感染を原因とする鳥類の急性伝染病。
家畜伝染病予防法においてニワトリ、ウズラの鶏痘が届出伝染病に指定されている。
養鶏が行われている所では今なお広範囲に常在し、ワクチンの普及で被害は減少しているが根絶してはいない。
伝染性気管支炎、伝染性喉頭気管炎との区別に注意する。
宿主 | 鶏(ニワトリ)、ウズラ。 |
病原体 | 鶏痘ウイルス。
ポックスウイルス科コルドポックスウイルス亜科アビポックスウイルス属に属するDNAウイルス。 |
感染経路 | 皮膚型は主にカ、ヌカカ、ダニ、ワクモ等(吸血節足動物)による機械的伝播(感染経路用語)。
粘膜型はウイルスを含む埃や羽毛等に接することによる接触感染(感染経路用語)。 |
季節性 | かつては、皮膚型は夏から秋、粘膜型は冬晩秋から春に多い傾向にあった。 |
選択性 | 鶏の品種、性、日齢に関係ない。 |
症状 | 感染初期には緑便がみられることが多い。
皮膚や粘膜に灰白色の硬い隆起(丘疹)が現われる。 感染後4~6日でアワ粒大から米粒大に大きくなり、アズキ大にも達する。 皮膚での隆起はやがてかさぶた(痴皮)に変わり、粘膜での隆起はやがてチーズのような付着物(偽膜)となる。 病変部の細胞内には細胞質内封入体であるボリンゲル小体が形成される。 これら発痘の発生部位から粘膜型と皮膚型に分ける。
致死率の高いのは粘膜型。 粘膜型は呼吸器系症状を示し、首を伸ばした開口呼吸がみられることがある。 窒息死することもある。 発育不良や長期の産卵不振を起こす場合もある。
皮膚型は顔面の腫れ、鼻汁、結膜炎、なみだ目(流涙)、ときに失明がみられる。 |
関連する法令 | 鶏、うずらは、家畜伝染病予防法において届出伝染病に指定されている。
家畜伝染病予防法4条、農林水産省令(家畜伝染病施行規則2条)。 |
病名の由来 | おそらくヒトが罹る(かかる)疱瘡(ほうそう)、痘瘡(とうそう)に似た症状、似た感染原因で、(鶏)ニワトリが罹ることからと思われる。 |
人への感染 | |
予防法 | 弱毒生ワクチンを接種することが効果的。孵化場において、出荷する前に皮下接種しておくことが一般的。 |
治療法 | |
病気発生のとき | 都道府県知事に届出。 |