農作業

剪定(せんてい)(Pruning, Clip, Cut The Branches)

投稿日:2019年2月26日 更新日:

(農業)(農作業)

一般的に枝を切ることが剪定である。

農業的には整枝(せいし)のひとつがこの剪定となる。

枝を切ることで、収穫作業がし易くなる、空気の通りがよくなって病害虫を防ぎまた病害虫の発見を容易にする、誘引を容易にするなどのメリットがある。

 

ここでは剪定は、その目的から刈り取りと整姿(*整枝ではない)に2分類できるものとし、説明する。

剪定(Cut The Branches) 刈り取り(Pruning) 1.若木において骨格枝の育成。効率よく受光させて枝や葉を強くする。

2.樹体の栄養と生殖の均衡を保つ。生育(開花、結実)を調節し、収量を上げる。

3.結果面を増やす。

4.摘果、袋掛け、人工受粉、施肥、薬剤散布、収穫などの作業性をよくする。

5.成木において側枝の更新等による生産性や樹勢の維持。古い枝を除いて新しい枝を発生させ若返らせる。

6.移植前に枝葉を減らして蒸散を防ぎ移植後の活着をよくする。

整姿(Trimming) 観賞価値を高める。

 

剪定の方法は次の2通りを説明する。なお文献では透かし剪定という用語がでてくるが、ここでは剪定=透かし剪定であるとして説明する。この2通りは簡単に言えば、枝の途中で切るか、枝の根元から切るか、である。

剪定(透かし剪定)(Cut The Branches) 切り戻し剪定(切り返し剪定)(Heading-Back) 枝の途中で切る。

枝の先端から半分くらいの位置で切ることが多い。

根元から枝を切らないので樹形があまり変わらず、植物に与えるダメージも少なめ。

切った部分付近の芽から強い新梢が出やすくなる。

間引き剪定よりも栄養成長を促進し、生殖成長は抑制する。

樹勢が低下した樹では樹の若返りを期待できる。

切った部分からたくさんの枝が生えて樹形が乱れることがある。

間引き剪定(Thinning-Out) 枝の発出位置で枝全体を切る。

骨格枝など先端の伸長を促進させたい枝を残して、それ以外をこの間引き剪定するのが一般的。

果樹では新梢の先端に花芽が着くため、切り返し剪定は花芽を除去してしまうことになる。よってカキやクリなど、切り返し剪定では花芽が不足してしまう場合にもこの間引き剪定となる。

 

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