(農業)(肥料)(土壌)
植物を腐らせずに土壌に混ぜて肥料にするもの。
山野草(さんやそう)緑肥 | 野生の草花を用いるもので、現在はあまり使われていない。 | |
栽培緑肥 | マメ科 | レンゲ、クローバー、ベッチ類、クロタラリア、エビスグサ
→炭素率(C/N比)が低い。分解が早く速効性。 |
イネ科
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ソルガム、トウモロコシ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、オオムギ、コムギ | |
キク科
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ヒマワリ、マリーゴールド | |
アブラナ科 | チャガラシ、黄カラシ、黒カラシ、シロガラシ |
・緑肥用の植物の多くは生育後期になると肥料成分が減ってくる。開花期前後は窒素に富み、緑肥として適しているものが多い。
・マメ科以外でも生育初期の緑肥用植物は炭素率(C/N比)が低く、分解が早くて速効性。
・炭素率(C/N比)が高いものは遅効性。
・緑肥を土壌に混ぜた直後から2〜3週間の間はピシウムという病原菌によって生育障害が起こることがあるため、播種を避ける。
・窒素肥料(化学肥料)の価格が下がった年代に緑肥栽培が減ったこともあった。
・ヨーロッパで小麦栽培の前にクローバーを、アメリカでトウモロコシ栽培の前に大豆を、緑肥用に栽培していることがある。
(化学肥料でなく緑肥を用いる目的)
*注:化学肥料の方が優れている点もあるので緑肥が化学肥料より常にいいとは限らない。
土壌の改善 | ・土壌の物理性(水はけ、保水力など)を改善する。
・有用微生物を増加させる。 ・土壌病害や線虫害を抑制する。 |
緑肥栽培で地表を覆うことによる効果 | ・(緑肥栽培で地表が覆われているため)雑草を防ぐ。
・(緑肥栽培で地表が覆われているため)土壌流失を防ぐ。 ・(緑肥栽培で地表が覆われているため)景観の美化。→観光収入につながる可能性。 ・(意図的に緑肥用作物を選択して栽培することで)土壌の余分な養分を減らす。クリーニングクロップ*としての役割。 |
*クリーニングクロップは和製英語の可能性がある。ネイティブ向けに使うと通じないかもしれないので注意。
(緑肥の例)
マメ科 | ヘアリーベッチ | ・雑草を抑制する。
・日陰でも生育する。 ・果樹園の下草に使われる。 ・トマト、ナス、ピーマン、キュウリなどの夏野菜に。 |
レンゲ | ・刈り入れ後の水田に用いられる。
・窒素含有量が高く、土壌に窒素分を供給するのに向いている。 |
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クロタラリア | ・空気中のチッソを固定し、養分を供給する。
・センチュウ類を抑制する。 |
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イネ科 | 燕麦野生種(えんばくやせいしゅ) | ・キタネグサレセンチュウやキタネコブセンチュウなどの害虫を抑制する。 |
ライ麦 | ・キタネグサレセンチュウやキタネコブセンチュウなどの害虫を抑制する。
・塩類濃度を下げられる。 |
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緑肥用トウモロコシ | ・比較的どこでも育つ(光飽和点がない)。
・ホウレンソウ、ブロッコリーの栽培前に向いている。 ・肥料としての効果が高い。 |
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ソルガム | ・根が張る性質により土壌をやわらかくし、水はけが改善される。
・粘土質や耕盤層のある土壌にも効果的。 ・根こぶ病やネグサレセンチュウを抑制する。 |
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キク科 | ヒマワリ | ・根酸が土壌中の不溶性リン酸を可溶性リン酸に変えるため、作物が吸収できるようになる。
・この根酸は火山灰黒ぼく土壌であっても、アルミナや鉄からリン酸を引き離し、不溶性リン酸を可溶性にリン酸に変える。 ・火山灰土の地域や、気温が低いためリン酸が吸収されにくい北海道で利用される。 ・タマネギ、ソラマメ、エンドウの栽培前に向いている。 |
マリーゴールド | ・サツマイモネコブセンチュウやキタネグサレセンチュウを抑制する。 | |
アブラナ科 | チャガラシ | ・土壌中の病原菌や害虫を抑制する。
・ジャガイモの黒あざ病、ホウレンソウの萎凋病、トマトの青枯病を抑制する。 |
もしも出題で、
Q:「作物などを畑にすきこんで使う肥料を( ① )といい、イネわらや家畜の糞尿等を積み重ねて作る肥料を( ② )という。この( )にあてはまる言葉を答えよ。」
とあれば、その答えは、
A:①緑肥、②堆肥、となる。