植物

栄養繁殖(えいようはんしょく)(Vegetative Propagation)

投稿日:2018年2月24日 更新日:

(農業)(植物)

根・茎・葉などの栄養器官から、胚・種子を経由せずに次の世代の植物が繁殖すること。

繁殖が、根・茎・葉などに依っておこなわれるものであり、種や胚に依ってはおこなわれないもの。つまり植物体の一部が親から独立して新しい植物となるもの。子は親と同じ遺伝子型になる。栄養繁殖でなければ種子繁殖である。

無性生殖ともいう。

農業では種苗生産によく用いられる。

栄養繁殖器官を休眠のため地中に形成するもの 根茎(こんけい) ヨシ、セイタカアワダチソウ
塊茎(かいけい) オモダカ、クログワイ
球茎(きゅうけい) グラジオラス、クワイ
鱗茎(りんけい) ヒガンバナ、ノビル
殖芽 クロモ
キレハイヌガラシ
塊根 カラスウリ
生育期間中に地上部に形成するもの 走出枝(ランナー) カキドオシ、チドメグサ、セリ、ホテイアオイ
肉芽(珠芽) オニユリ、カラスビシャク
葉の不定芽 ベンケイソウ、コモチシダ

高次倍数体(ヒトのような2組のゲノムをもっている生物を二倍性生物(二倍体)といい、これより大きい倍数性をもった作物を、倍数性作物とか高次倍数体の作物という)ではこの栄養繁殖が一般的な繁殖方法となる。

栄養繁殖によって生まれる新植物は種子繁殖のものに比べサイズが大きく成長が早いものが多く、雑草の場合は防除が難しくなる。

挿し木や接ぎ木、取り木は、人工的な栄養繁殖方法といえる。

 

 

-植物

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

徒長(とちょう)(Spindly Growth, Stretched Out Stem*, Leggy Stem*)

(農業)(植物) 徒(いたづら)に長く伸びた茎などのこと。無駄にというニュアンスがある。内容が充実せずに伸びが進んでいる状態。 徒長苗(とちょうなえ)とか徒長枝(とちょうし)という言葉でよく使われる。 …

no image

両性花(りょうせいか)(Hermaphrodite Flower, Perfect [Complete] Flower)

(農業)(植物) ひとつの花に雄しべと雌しべの両方がある花。雌雄同花(しゆうどうか)ともいう。ダイズなど。⇔単性花(たんせいか)。 →雌雄異花

no image

塊根(かいこん)(Groundnut, Root Tuber, Storage Root, Tuberous Root)

(農業)(植物) 根(ね)のうち、養分、水分が貯まって肥大化した部分。栄養繁殖器官にもなる。 貯蔵される養分はサツマイモのようにデンプンであることが多いが、ダリアはイヌリンである。 作物の例 サツマイ …

no image

ウイルスフリー苗(ういるすふりーなえ)(Virus-Free Plants)

(農業)(植物) ウイルスに感染していない苗。 ウイルスが植物に感染すると細胞間を移り全体に広がるが、植物の芽の先端はウイルスに感染しにくい。これは成長点での細胞分裂速度がウイルスの細胞間移行速度より …

no image

塊茎(かいけい)(Groundnut, Stem Tuber, Tuber, Tubera, Tuberosity)

(農業)(植物) 根(ね)と異なり、茎の地下部分であるところの地下茎の、4分類のひとつ。地下茎の先が肥大して養分貯蔵器官となっている。多年生草本で地上部が毎年枯れても、養分をたくわえた地下茎によって増 …