(農業)(土壌)
沖縄県の土壌は、国頭(くにがみ)マージが最も多く、次いで島尻(しまじり)マージ、ジャーガル、沖積土壌(ちゅうせきどじょう)の順となっている。
土壌 | 酸性/アルカリ性 | 分布面積率 | 作物の例 |
1.国頭(くにがみ)マージ | 酸性 | 55% | さとうきび、パインアップル、果樹 |
2.島尻(しまじり)マージ | 弱アルカリ性 | 27% | さとうきび、野菜 |
3.ジャーガル | 弱アルカリ性 | さとうきび、野菜 | |
4.沖積土壌(ちゅうせきどじょう) | 水稲 |
全般に有機物が乏しく、粘土質の風化土あるいは風化岩の堆積土。そのため、物理性・理化学性からして農耕に適さず、それぞれ改良を要する。
マージ(真地)とは沖縄の赤色~黄色系の土壌を総称したもの。マージは母岩によって、国頭マージと島尻マージに分けられる。
国頭マージ | ・沖縄県本島中北部、石垣島、久米島、伊平屋島、伊是名島、慶良間諸島等に分布している粘性土である。
・粘板岩、砂岩などを母岩とし、酸性である。 ・農耕地土壌分類第3次改訂版では、国頭マージは土色によって赤色土または黄色土に分類される。 ・易耕性、通気性、排水性、保水性など物理性が全般に不良で、干害や湿害が生じやすい。 ・水食(赤土流出)があるため、マルチ被覆や圃場の均平化、畦畔の設置、沈砂池によるトラップなどの対策が要る。 ・土壌は粗粒質から細粒質まである。 ・主要粘土鉱物としてイライト(雲母様鉱物)、カオリナイトを含む。 ・傾斜地に分布するため浸食を受けやすい。 ・下層土は特に緻密で透水性、通気性が悪い。 |
島尻マージ(隆起サンゴ礁石灰岩土壌) | ・沖縄県本島中南部、本部半島、宮古諸島、八重山諸島、南北大東島、久米島等に分布している概ね弱アルカリ性の石灰岩土壌である。
・琉球石灰岩(古代の珊瑚の化石)に由来し、赤褐色~赤色を呈し、微アルカリ性~弱酸性である。 ・農耕地土壌分類第3次改訂版では、暗赤色土に分類される。 ・構造が発達しており、易耕性、通気性、排水性などは優れている。 ・下層土が緻密で有効土層が浅く、また保水性が低いので干害は生じやすい。 ・細粒質の重粘土である。 ・主要粘土鉱物としてイライト(雲母様鉱物)、カオリナイトを含む。 ・主として平坦地に分布し、土壌の浸食は少ない。 ・土層厚は変化に富み、浅い所は礫質で基岩の露出するところがある。 ・灌水設備が要る。 ・酸性を好む果樹(パイナップル等)に向かない。 |
ジャーガル(泥灰岩の風化土壌)
|
・沖縄県本島中南部一帯及び宮古島の一部に分布する弱アルカリ性の重粘性土壌である。
・土色は概ねオリーブ(黄緑)褐色~灰色である。 ・土壌は細粒質の重粘土である。 ・主要粘土鉱物としてスメクタイト(モンモリロナイト)、イライト、カオリナイトを含む。 ・緩傾斜~平坦地に分布し、緩傾斜地では地すべり、崩壊を起こしやすい。 ・保水力が強く、干ばつの被害は少ない。 ・古代に大陸から堆積した島尻層群の泥灰岩からできた土壌。 ・粘土質の非常に細かい粒子で出来ているため透水性が低く、雨が降ると粘着性の泥になり農作業に苦労する。 ・酸性を好む果樹(パイナップル等)に向かない |
沖積土壌 | ・沖縄県本島中南部の海岸地帯に分布する海成沖積層土壌と、河川の河口部及び周辺に分布する河口沖積土壌に大別される。
・土色は褐色~青灰色である。 ・土壌の反応は酸性~アルカリ性である。 ・土壌は粗粒質から細粒質まである。 ・一般に地下水位が高い。 ・泥灰岩土壌や黒泥土壌は、圧縮性が高く、排水改善後地盤の不等沈下が起きやすい。 |
ニービ | ・本島近海離島に見られる、堆積した砂が中心の土壌。
・粒子の細かい砂なので、透水性がかなり高く、乾燥害が出やすく、灌水設備を整えるか、乾燥に強い農作物を選ぶ必要がある。 ・直根性の島にんじんや、砂質土壌を好む島らっきょうなどの栽培に向いている。 |
クチャ | ・本島中南部の一部に分布し、古代に大陸から堆積した泥灰からできた土壌。
・灰色〜青灰色であり、非常に細かい粒子で出来ている。 ・ジャーガルと同じく透水性がほとんど無い。 |
もしも出題で、
Q:「沖縄県内の主な土壌として、国頭マージ、島尻マージ、ジャーガル及び沖積土壌があるが、国頭マージはpH7以上のアルカリ性土壌である。」といったらこれは○か×か。
とあれば、その答えは、
A:×(国頭マージはアルカリ性ではなく酸性。)
→土性
→塩類集積
→地力
→客土
→山あげ