科学

陽イオン交換容量(よういおんこうかんようりょう)(CEC : *Cation Exchange Capacity)

投稿日:2019年10月6日 更新日:

(農業)(科学)

保肥性の指標。CECが大きい土壌は保肥性が高い。土壌が保持できる陽イオンの量。

(*Cationの発音はケイションではなくキャタイオン。一般にカチオンともいわれる。カチオン塗装という塗装用語にも使われている化学的な言葉。)

 

粘土や腐植などは、マイナスに荷電し、陽イオンを引きつける。

そのため、植物の養分となるカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、水素などの陽イオンを引きつけ保持するから、粘土や腐植などは保肥力のある肥沃な土壌の要因となる。

CECが小さい

60meq以下

CECが中ぐらい

60meq~200meq

CECが大きい

200meq以上

カオリナイト(1:1型) 3~15

ハロイサイト(1:1型) 10~40

スメクタイト(2:1型) 80~150

モンモリロナイト(2:1型) 80~150

バーミキュライト(2:1型)

アロフェン 30~200

腐植 30~280(*ただし2価のマグネシウムイオンやカルシウムイオンを保持する性質が強く、

1価のアンモニウムイオンやカリウムイオンを保持する性質は弱い。)

※CECを基準としたとき、変異荷電に富む土壌では土壌の塩濃度やpHにより保肥性が変わる。

※CECの大きさの単位は、乾土100グラムに保持できる陽イオンの数で示され、meq/100g(ミリグラム当量・ミリエクイバレント)で表される。

※この単位meq/100gは、現在はSI基本単位とSI接頭辞により表すことになり、cmol(+)・kg−1に変わりつつある。

 

もしも出題で、

Q:「pH(ピーエイチ)とは、土壌の養分保持力を表し、陽イオン交換容量とよばれる。」といったらこれは○か×か。

とあれば、その答えは、

A:×(pHの読み方はこういった意味ではペーハーが正しい。よって読み方で、すでに×。また「土壌の養分保持力を表し、陽イオン交換容量とよばれる」のはpHではなく、CEC(陽イオン交換容量)なので×である。もしもこの出題文が「CEC(シーイーシー)とは、土壌の養分保持力を表し、陽イオン交換容量とよばれる。」だったら○である。)

-科学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

地温(ちおん)(Soil Temperature, Ground Temperature, Earth Temperature)

(農業)(科学) 地表や地中の温度のこと。地中温度とも、土壌温度ともいう。また、地面より上、すなわち地上の大気の温度は気温である。 一日の地温の変化は、地表では大きく変化するが、深さが30cmから50 …

no image

エチレンガス(Ethylene Gas)

(農業)(科学) 熟成していく野菜や果物から発生するガス。成熟ホルモンと呼ばれる。果物の多くはこれによって果物に含まれる酵素の働きが促されて熟していく。そのため追熟(ついじゅく)用に足されることがある …

no image

光合成(こうごうせい)(Photonic Synthesis, Photosynthesis)

(農業)(科学) 植物が太陽光のエネルギーを用いて、二酸化炭素と水から有機物(炭水化物)を合成し、酸素を放出する反応。 CO2+H2O→(CH2O)+O2という化学反応で表される。 明反応と暗反応に大 …

no image

インドール酢酸(いんどーるさくさん)(Indole Acetic Acid(IAA))

(農業)(科学) 分子式C10H9NO2。植物の生長(*植物では成長でなく生長ということがよくある)を促進するホルモン。略称IAA。似た作用をもつ物質を総称してオーキシンというが、オーキシンという化合 …

no image

対抗植物(たいこうしょくぶつ)(Antagonistic Plant, Nematode Suppressive Crops)

(農業)(農法)(科学)(植物)(病害) 作物に有害なウイルス、細菌と菌類、線虫を防ぐ効果がある植物のこと。これらは栽培後に緑肥的に用いられる。 線虫(Nematode)とは、線形動物門に属する生物の …