植物 病害 科学 農法

対抗植物(たいこうしょくぶつ)(Antagonistic Plant, Nematode Suppressive Crops)

投稿日:

(農業)(農法)(科学)(植物)(病害)

作物に有害なウイルス、細菌と菌類、線虫を防ぐ効果がある植物のこと。これらは栽培後に緑肥的に用いられる。

線虫(Nematode)とは、線形動物門に属する生物の総称であり、おおむね体長1mmに満たない無色透明の細長いミミズ状のもの。目視では見つけにくい。

この対抗植物のことをクリーニングクロップと記した文献は多いが、英語辞書に登場せず、和製英語の可能性がある。

対抗植物が対抗するもの ウィルス
細菌と菌類
線虫

 

病原 症状 対抗植物
ウィルス テンサイそう根病 野生エンバク
細菌と菌類 (落葉病菌による)アズキ落葉病 野生エンバク
(Verticillium dahliaeによる)ウド萎凋病、

キク半身萎凋病

ペレニアルライグラス、

イタリアンライグラス、

デントコーン

線虫 ネグサレセンチュウ類 マリーゴールド、野生エンバク、クロタラリア(Crotaloria Spectabilis)
ネコブセンチュウ類 クロタラリア(Crotaloria Juncea)*、ギニアグラス
ダイズシストセンチュウ クロタラリア、クローバー
ユミハリセンチュウ アスパラガス

・クロタラリア(Crotaloria Juncea)*は、ネグサレセンチュウはかえって増加させてしまう。

・すべての線虫種に共通的に効く対抗植物はない。

・サツマイモネコブセンチュウ、キタネグサレセンチュウは雑草でも増える。よって雑草の抑制と除草が効果的である。

・対抗植物の栽培期間は長いほど効果がある。通常栽培期間は80~90日間。線虫の活動は6~10月に活発であり、この間に対抗植物を栽培しておくと線虫を防ぐ効果が高い。

-植物, 病害, 科学, 農法

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

2期作(にきさく)(Double Cropping)

(農業)(農法) 1年の間に同一耕地で「同じ」作物を一度ずつ栽培すること。 *英語Double Croppingは二期作と二毛作を区別していないのかもしれない。ただDoubleに「(同じ物が)二重の、 …

no image

法定伝染病(ほうていでんせんびょう)(Legal Communicable Disease, Notifiable Infectious Disease, Official Disease, Reportable Communicable Disease)

(農業)(病害) 本来の正式な医療用語としては、現在は使われなくなった。 農業では、「ニワトリのニューカッスル病は『法定伝染病』に指定されているように危険な病気だ」のような文脈で通用的に使われる。 そ …

no image

2毛作(にもうさく)(Two Kinds Cropping)

(農業)(農法) 1年の間に同一耕地で「異なる」作物を一度ずつ栽培すること。 *英訳はここで創作(2018/3/13)。

no image

遺伝資源(いでんしげん)(Genetic Resource, Germ-Plasm Stock, Germplasm)

(農業)(科学) 遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他に由来する素材であって現実の又は潜在的な価値を有するもの。 *生物多様性条約の名古屋議定書で日本国内措置として交付された、「遺伝資源 …

no image

蒸散(じょうさん)(Transpiration)

(農業)(科学) 植物中の水分が、地上部から水蒸気として大気中に放出される現象。 蒸散は主として葉の裏側の気孔から行われ、これを気孔蒸散という。それ以外に植物表面のクチクラ層から行われる蒸散をクチクラ …